残念ながらMaker Faire Tokyo 2022には出展許可はいただけませんでした。また来年ということになりますが、来年であればROS2でルンバを動かしておきたいものです。
ROS1でルンバを動かしたという記事は見かけますが、ROS2はあまり見かけませんので、調査から始めることにしました。
ハードウェアの準備
以下のハードウェアを使用します。
- iRobot ルンバ 600シリーズ
- Raspberry Pi 4 Model B / 4GB
- YDLiDAR X2
- FTDI USBシリアル変換アダプター(ルンバとRaspberry Pi 4の接続用)
- モバイルバッテリー(Raspberry Pi 4の電源はUSB-Cなのでそのケーブルも必要)
これらを組み合わせるとこのようになります。

どのROS2を使うか
ROS2で現在サポートされているのは以下の3つです。
| Distro | Release date | EOL date | Plathome (Ubuntu) |
|---|---|---|---|
| Humble Hawksbill | May 23rd, 2022 | May 2027 | 22.04 LTS (Jammy) |
| Galactic Geochelone | May 23rd, 2021 | November 2022 | 20.04 LTS (Focal) |
| Foxy Fitzroy | June 5th, 2020 | May 2023 | 20.04 LTS (Focal) |
Humbleは登場したばかりでもう少し様子を見たいことと、GalacticはFoxyよりもEOLが早いので、今回はFoxyを選択しました。
ROS2の何が良いのか
ROS1の場合はroscoreというプロセスがシステムのどこかに存在している必要がありましたが、ROS2はお互いのノードが通信できるためroscoreのようなものは不要です。またセキュリティ的にも改善されているそうです。今後新しいOSに対応していくので保守面でも安心です。
ROS2の実行環境
ROS2の実行環境はUbuntu 20.04 LTSになります。ROS1 Melodicの場合はUbuntu 18.04 LTSだったため、M1 MacのParallel Desktopは使えなかったのですが、Ubuntu 20.04 LTSなら使えます。これでM1の高速性が活かせそうです。Raspberry PiもUbuntu 20.04 Serverが使えますので、当面OSサポートの心配は不要です。
ルンバのドライバはROS1の時はRoboticaUtnFrba/create_autonomyを使用しましたが、こちらはROS2には対応していないようなので、Foxyをサポートしている AutonomyLab/create_robot を使用してみます。このfoxyブランチを使用すれば良さそうです。
ROS2の環境構築
まずは、Ubuntu 20.04 LTSをインストールします。PCにはデスクトップ版を、Raspberry Piにはサーバー版をインストールしました。
次にROS2 Foxyのインストールです。これもパッケージインストールなので公式サイトの手順通りでインストールできます。今回はRaspberry PiもPCと同じDesktop installを行いました。Raspberry Piではディスプレイに接続しないのですが、ROS-Base Installだとデモプログラムなども入っておらず通信の確認などで不便だったので同じ環境にしました。
さらにルンバのドライバとLiDARのドライバをRaspberry PiのROS2 Foxy環境にインストールします。こちらはROS1の時と同様にGitHubからクローンしてビルドすることになります。手順は各ドライバのGitHubにありますが、ROS1のときはcatkin buildでしたが、ROS2ではcolcon buildになります。
Raspberry PiとルンバとLIDARを接続
ここはROS1の時と同じです。Raspberry PiのUSBポートにUSBシリアルを介してルンバ本体に接続します。udevの設定ファイルを作成し、ルンバのUSBシリアルが接続されたら/dev/roombaのデバイスが割り当てられるようにします。
LiDARもRaspberry PiのUSBポートに接続します。販売元から提供されているLiDARドライバをインストールすることで、LiDARが接続されたら/dev/ydlidarに割り当てられます。
ルンバの動作確認
ルンバに接続しているRaspberry Piにログインします。
ターミナルを2つ接続してルンバのドライバとLiDARのドライバを動かします。
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この状態でRaspberry Piでのノードとトピックを確認します。
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この例のように正常にノードとトピックが見えればOKです。
LiDARのトピックである/scanはLiDARのスキャン情報が大量に流れているのが見えると思います。
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もう一つターミナルを立ち上げて/cmd_velのトピックを投げてみます。
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これでルンバが少しずつ動くはずです。うまく動けばルンバ側の環境設定は完了です。
次はPCの環境を使ってSLAMに挑戦してみます。
