1802 Membership Cardは動作していますが、EEPROMでモニタが動かなかったのが気になります。なぜ動かないのかを調べてみました。
まず、モニタが起動しなかったEEPROMを取り外し、ROMライタで読み出したファイルを元のMCSMP20Jモニタプログラムをハッシュで比較してみました。
公式サイトのMCSMP20Jモニタプログラム
$ sha1sum MCSMP20J.bin
a983d294f9451e36126e8c17c178a3a98eed3015 MCSMP20J.bin
EEPROMから読み出したデータ
$ sha1sum testj.bin
8113b7fdb0b09cf029643bcde3f957f4854ecccb testj.bin
明らかに内容が異なります。
どこが書き変わっているのか差分を確認します。
$ cmp -l MCSMP20J.bin testj.bin
13568 325 0
32768 377 0
cmpコマンドではオフセットの値は10進数、データの値は8進数で表示されているので、16進数のアドレスとデータにしてみると以下のようになります。
$34FF D5 -> 00
$7FFF FF -> 00
この2バイトの差分がみつかりました。念のためダンプして確認してみます。
公式サイトのMCSMP20Jモニタプログラム
000034f0 3b e3 ff 1a 33 e3 f8 01 d5 4b fb 0d 3a f9 2b d5 |;...3....K..:.+.|
00003500 d4 a5 73 01 98 73 4b fb d6 3a 00 4b fb d7 3a 00 |..s..sK..:.K..:.|
:
000049a0 ff ff ff ff ff ff ff ff ff ff ff ff ff ff ff ff |................|
* (この間すべてffであることを示します)
00008000
EEPROMから読み出したデータ
000034f0 3b e3 ff 1a 33 e3 f8 01 d5 4b fb 0d 3a f9 2b 00 |;...3....K..:.+.|
00003500 d4 a5 73 01 98 73 4b fb d6 3a 00 4b fb d7 3a 00 |..s..sK..:.K..:.|
:
00007ff0 ff ff ff ff ff ff ff ff ff ff ff ff ff ff ff 00 |................|
確かにこの2バイトが書き変わっています。
しかし、ほとんどの部分は元のモニタプログラムと一致しています。これぐらいの差であればある程度モニタが動いても良いように思えます。
また気になるのは$7FFF、つまり実際のアドレスだと$FFFFというメモリエリアの終端のバイトが書き変わっていることです。
ここからは推測ですが、モニタが起動する際にメモリマップがどのようになっているかを確認するために$FFFFにデータを書きこんで調べているのではないかと。
$FFFFに正常に書き込めたので$8000-$FFFFをRAMと誤判断し、初期化処理をしている可能性もあります。
そこでEEPROMに書き込めないようにEEPROMの/WEがVDDに接続されるようにジャンパーピンを設定してみました。
回路図のTABLE 1に記載されている標準のジャンパーピン設定
P2 1-2, 4-5
P3 1-3, 2-4
28C256 MCard1802
1(A14) -- A14
23(A11) -- A11
26(A13) -- A13
27(/WE) -- /WE
今回試したジャンパーピン設定
P2 1-2, 4-5
P3 1-3, 4-5
28C256 MCard1802
1(A14) -- A14
23(A11) -- A11
26(A13) -- A13
27(/WE) -- VDD
もう一度MCSMP20JモニタプログラムをEEPROMに書き込んでフロントパネルから起動したところ、無事モニタが立ち上がりました。
あとでCOSMAC ELF Groupでコメントをいただいたのですが、同様な問題に遭遇して同じようなジャンパーにされたかたがいました。この問題は報告済みだとのことです。
これでEEPROMが安心して使えるようになりました。