ヤフオクで68000CPUが搭載されたレガシーなワンボードコンピュータが出品されていたので落札しました。出品情報によると「MIC68K」という名称のようです。まずはどんなワンボードコンピュータなのか基板を観察してみます。
基板の中央に68HC000P8が構えています。今ではこんな巨大なICは見る機会はないでしょう。あとは256KbitのSRAMが2つ。8bit×2個で16bitバスに接続されているのでしょう。2つの空きソケットがありますが、ここにはROMを実装するものと思われます。SRAM同様に256KbitのROMが搭載できるでしょう。
あとは63B40P(PTM: Programmble Timer Module)、63B50P(ACIA:Asynchronous Communications Interface Adapter)が2つ、63B21P (PIA:Peripheral Interface Adapter)と8bit系の周辺デバイスが並んでいます。接続端子はRS232CとRS485ですので、63B50Pがそれぞれ接続されているはずです。
ここでの特徴としてはすべて68系の8bit周辺デバイスを使っていて、68000系の16bit周辺デバイスは使われていないことです。これは学習用としてシンプルかつ安価にするためと思われます。
電源端子は+5Vの単一電源です。RS232CまわりはMAX232を使って単一電源化しています。クロックはEXO-3が2つ使われています。1つは16MHz。これは1/2分周で8MHzのCPUクロックでしょう。もう1つは19.660MHz。この周波数は1024分周するとほぼ19.200KHzになります。これはシリアル通信のクロックとして使われているはずです。
他は一般的なロジックICが並んでいます。74HC138, 74HC139あたりはアドレスデコーダまわりでしょう。見た限りだと68000CPUを除けば現在でも入手できるICが多く、万が一故障しても保守性は良いと思われます。
次にWeb検索でMIC68Kを検索したところ、情報は少ないのですが、1983年6月のCHINA COMPUTERWORLDにMIC-68Kという名前のワンボードコンピュータを取り上げた記事がありました。
JIAOTONG UNIVERSITY'S 16-BIT SINGLE-BOARD MICROCOMPUTERS INTRODUCED Beijing JISUANJI SHIJIE [CHINA COMPUTERWORLD] in Chinese No 11, 5 Jun 83 p 1 [Article: "Shanghai Jiaotong University Has Assembled Two Types of 16-Bit Single-BoardMicrocomputers"] [Text] The Microcomputer Laboratory of Shanghai Jiaotong University recently introduced the MIC-68K and the MIC-8K2 16-bit single-board microcomputers. The MIC-68K is built around a 68000 microprocessor with 32K RAM and 16K-32K EPROM, and has high numeric and real-time processing capabilities. One feature is that all the supporting circuits for the 16-bit CPU are 8-bit I/O chips. Its peripherals include a CRT terminal, a line printer, a cassette recorder and an EPROM programmer. The entire single-board is 305 mm x 200 mm x 15 mm, uses +5volts (800 milliamperes), +12 volts (50 milliamperes), -12 volts (50 milliamperes). As an OEM product, the MIC-68K can be applied to process control, real-time processing, education, etc. The MIC-68K can be used as a development tool for the 16-bit microcomputers.
今回の基板はこの記事のワンボードマイコンではないかと考えられますが、電源が単一電源となっていることから若干異なります。また、当時主流だったTTLデバイスではなく、CMOSデバイスが使われていたり、1987年に発表されたMAX232が使われていることから、改良版なのではないかと思われます。
目視による簡単な調査はここまでです。このあとこの基板を動かすために詳細な調査を行っていきます。
続きは解析編で。
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